
ざっくり要約3ポイント
最近テレビのCMや電車の広告で「AGA」という言葉を良く目にすると思います。AGAは薄毛の原因の1つである病名です。このAGAとはいったいどういう症状なのか、またそのメカニズムや原因について詳しく紹介していきたいと思います。
目次
AGAとは
AGAは「AndroGenetic Alopecia」略称で、日本語では「男性型脱毛症」といいます。なお、AGAの読み方は「アガ」ではなく「エージーエー」と読みます。進行型の薄毛の症状を指す病名で、成人以降の男性によくみられる症状です。
AGAの発症時期
一般的に20代以降に自覚される症状ですが、個人の男性ホルモン量に大きく影響することから、早いと10代からでもAGAの症状がみられるケースがあります。
また、AGA自体は抜け毛が増えて徐々に時間を掛けて髪が薄くなることから、実際にAGAが発症しても、薄毛の自覚が出るまでにはタイムラグが発生するケースが多く見られます。
AGAの進行と特徴
AGAの特徴的な症状として、下記の通り5つの進行段階に分けられます。
- 段階1:抜け毛が徐々に増える
- 段階2:徐々に頭頂部や前頭部の何れか、もしくは両方が髪が薄くなる
- 段階3:細くて細かい抜け毛が増える(抜け毛のミニチュア化)
- 段階4:顕著に頭頂部や前頭部の何れか、もしくは両方が髪が薄くなる
- 段階5:毛根から新しい髪が生えてこなくなり頭皮がツルツルの状態になる
人によって段階の進行具合は様々ですが、年単位で薄毛の進行が徐々に進んていきます。
なお、AGAの髪が薄くなる部位は頭頂部や前頭部の何れか、もしくは両方が髪が薄くなるという特徴的な症状がありますので、比較的自分でも認識しやすいといえます。また、もし後頭部や側頭部の髪の量が薄くなっているのであれば、
AGA以外の薄毛の原因が考えられます。その場合にはこちらの薄毛の種類を参考にしてみてください。
AGAが薄毛を引き起こす仕組み(メカニズム)
引用:aga-news.jp
体のホルモンにより薄毛の症状を引き起こすのがAGAです。そのAGAになる仕組み(メカニズム)を5つのステップに分けて紹介していきます。
【ステップ1】男性ホルモンの分泌
男性の睾丸や副腎で作られる男性ホルモンが出発点となります。この男性ホルモンはテストステロンとも呼ばれ、ヒゲや体毛の成長を促し、筋肉や骨格の形成にも働きます。少年が思春期に男っぽくなる二次性徴という現象もこのテストステロンの働きが関係しています。
【ステップ2】5αリダクターゼとの結合
テストステロンが血中をめぐり、頭髪の毛根付近にある5αリダクターゼという酵素と結合します。なお、5αリダクターゼには2つの種類が存在しており、それぞれ特徴が異なります。なお、5αリダクターゼには体内には2つの種類が存在しており、それぞれ特徴が異なります。
・5αリダクターゼ1型
全身の側頭部と後頭部の皮脂腺に存在しています。
・5αリダクターゼⅡ型
前立腺と前頭部から頭頂部の毛乳頭に存在しています。
その為、AGAは5αリダクターゼⅡ型との相関性が高いことが分かります。
【ステップ3】ジヒドロテストステロンへの変換
5αリダクターゼとテストステロンが結合すると、ジヒドロテストステロン(DHT)という物質に変換されます。なお、ジヒドロテストステロンは頭髪の脱毛だけでなく、体毛の増加、前立腺肥大、皮脂の分泌など様々な体への影響を及ぼすホルモンです。
【ステップ4】アンドロゲンレセプター(アンドロゲン受容体)の結合
このジヒドロテストステロンがアンドロゲンレセプター(アンドロゲン受容体)と結合します。そうすることで、毛母細胞の細胞分裂を抑制され毛周期に影響を及ぼします。
【ステップ5】ヘアサイクルの乱れ
髪の毛はヘアサイクル(毛周期)という一生を繰り返して、抜けてから生えるというサイクルを繰り返していきますが、毛母細胞の細胞分裂を抑制されることでそのヘアサイクル(毛周期)を乱れて髪が薄くなります。なお、サイクルは無限ではなく一般的に50回程度といわれています。
(通常ヘアサイクル)
・5年(成長期)→退行期(2~3週間)→休止期→抜ける→最初に戻る
(AGAのヘアサイクル一例)
・1ヶ月(成長期)→退行期(1週間)→休止期→抜ける→最初に戻る
上記のAGAのヘアサイクルの状態になると、どんどん抜け毛が増えて、通常のヘアサイクルよりも髪の毛が成長する期間も短くなるため、髪1本も太く成長することが出来ずに、細く弱々しいまま抜けていきます。
最終的には、ヘアサイクルは無限ではなく1つの毛乳頭細胞で50回程度といわれていますので、1回のヘアサイクルが上記の例だと50ヶ月(約4年)で上限50回の髪の生え代わりが終了し、髪の生えない毛根となってしまいます。
AGAの原因
AGAの原因は大きく分けて2つの原因があることは分かっています。
【1】遺伝的要因
AGAになりやすい要因となる男性ホルモン受容体はX染色体に大きく左右され、このX染色体は母方の遺伝子から影響を受けやすい為、母方の祖父の髪が薄かったり、若い頃からAGAの兆候があった場合には、その影響を受けている可能性があります。
また、男性ホルモン受容体は隔世遺伝で影響を受けやすい物なので、自分の父親が薄かったとしてもそこで悲観的になる必要はありません。なお、この遺伝的要素はあくまでも一般論なのでAGAに悩む人の全員にそのまま該当をする訳ではありませんので、あくまで可能性の1つとして考えておきましょう。
【2】加齢(年齢)
AGAは男性ホルモン(テストステロン)由来のジヒドロテストステロンにより薄毛が進行する為、男性ホルモン(テストステロン)の分泌量にも影響をうけます。その分泌量にある程度個人差は多少ありますが、10代後半から20代にかけて分泌量がピークをむかえ、中高年になってくると徐々に減少することから、AGAの進行には年齢も非常に重要な因子であることが分かります。
AGAの嘘
AGAに関しては、最近になって医学的なメカニズムやその仕組みが明らかになりました。その為、未だ未だAGAに対しての誤解や嘘が世の中に氾濫しているので、正しい知識を身に着けていく必要があります。インターネットで最近よく見るAGAに対しての科学的な根拠のない嘘の一例をみていきましょう。
- ・頭皮の脂でAGAが進行する
- ・タバコを吸うとAGAになりやすい
- ・筋トレするとAGAになる
- ・防止をかぶるとAGAが進行する
こういった様々な噂がありますが、これは全て直接的なAGAの原因にはなりません。遠因としての可能性はありますが、直接的な原因にはなりません。こういったAGAの嘘情報で育毛剤や育毛サプリメントを薦めるメーカーがありますが、鵜呑みにして高い商品を買っても何も解決しませんので、注意してください。
まとめ
AGAは髪の毛がなんとなく抜けて薄くなる訳ではありません。AGAにはしっかりと原因があり、そのメカニズムや症状が解明している病気です。その為、医学的なエビデンスに基づいた治療方法が確立しています。なんとなくで、高額な育毛剤やサプリメントなどに手を出すことなくAGAの対策や治療をしていきましょう。