
ざっくり要約3ポイント
2018年の2月に日本皮膚科学会が2010年に発行していた「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版) 」の内容を改訂し、新たに名称も「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」に変更しました。
まずは、この男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインに馴染みの無い方に向けて、これがが一体どういうものなのか、どのように活用していけばよいのか、そして2010年度版から2017年版にかけて何が変わったのかの比較検証等を紹介していきたいと思います。
なお、男性型脱毛症(AGA)自体が未だ詳し分からないという方は、この記事を読む前に下記のページを先に読まれることをおすすめ致します。
目次
■男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインとは
公益社団法人の日本皮膚科学会(https://www.dermatol.or.jp/)と毛髪科学研究会(http://www.tokyo-med.ac.jp/derma/shsr/)の共同事業として男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインとの策定が発足し、2010 年に日本皮膚科学会から発表されました。
内容としては、医学的なエビデンス(科学的・医学的根拠、治験)に基づいた、男性型脱毛症(AGA)診療における様々な治療方法の推奨度ランク別に明記したもです。
この男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインが発表された経緯としては、ガイドラインが発表される2010年より以前は、AGA(男性型脱毛症)の対策として「頭皮の脂を取る」「頭皮に微弱電流を流す」など一切医学的な効果が認められていないにも関わらず、高額な民間療法サービスが育毛サロンやヘアエステなどで横行していました。その為、発毛サロンなどを相手取り訴訟が度々起こり社会問題に発展するケースが度重なりました。
その為、AGA治療における明確な指標として、日本皮膚科学会と毛髪科学研究会がエビデンスに基づいた治療方法のガイドラインを策定するに至りました。
また、AGA治療は未だ未だ発展途上にある治療の為、新たに国内外問わず新しい治療法が毎年産まれています。その為、2017年に新たな治療法を取り入れてガイドラインを改訂しました。
■2017年版のガイドライン作成委員会のメンバー
まず、実際にどのような人物(医師)が「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」を策定したかが明記されています。ガイドラインを読み解く上で、その作り手を詳しく知ることは非常に重要な事です。
〇坪井 良治 医師(2010年度版も策定)
・東京医科大学 主任教授
・資生堂との毛髪再生医療の確立へ向けた臨床研究
(http://www.tokyo-med.ac.jp/160627hihupress.pdf)
〇板見 智 医師:(2010年度版も策定)
・大阪大学大学 教授
・アデランス研究パートナー
〇長田 真一 医師
・秋田大学医学部 准教授
〇天羽 康之 医師
・北里大学医学部 教授
〇伊藤 泰介 医師
・浜松医科大学 准教授
〇乾 重樹 医師(2010年度版も策定)
・心斎橋いぬい皮フ科院長
・アデランス研究パートナー
〇植木 理恵 医師(2010年度版も策定)
・総合病院カウンセラー
・慶應義塾大学 非常勤講師
〇大山 学 医師
・杏林大学医学部 教授
〇倉田 荘太郎 医師(2010年度版も策定)
・アデランス研究パートナー
・くらた医院 院長
〇幸野 健 医師(2010年度版も策定)
・日本医科大学千葉北総病院 教授
〇齊藤 典充 医師(2010年度版も策定)
・横浜労災病院 部長
〇佐藤 明男 医師
・東京メモリアルクリニック 院長
〇下村 裕 医師
・山口大学大学院 教授
〇中村 元信 医師
・東京ハートライフクリニック 院長
〇成澤 寛 医師
・佐賀大学医学部附属病院 副病院長
〇山崎 正視 医師(2010年度版も策定)
・上尾中央総合病院 診療顧問
※2018年2月現在
■男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインの推奨度の基準とは
まず、ガイドラインをチェックする前に「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」はそれぞれの治療を各推奨度にランク分けがされています。その推奨度がどのように区分され、どの様な意味合い(基準)で確立されているのかを事前に確認しておきましょう。
ランク | 推奨度 | 詳細 |
---|---|---|
A | 行うよう強く勧める | (少なくとも1つの有効性を示すレベルI もしくは良質のレベル II のエビデンスがあること) |
B | 行うよう勧める | (少なくとも 1 つ以上の有効性を示す質の劣る レベル II か良質のレベル III,あるいは非常に良質の IV の エビデンスがあること) |
C1 | 行ってもよい | (質の劣る III~IV,良質な複数の V, あるいは委員会が認める VI のエビデンスがある) |
C2 | 行わないほうがよい | (有効のエビデンスがない, あるいは無効であるエビデンスがある) |
D | 行うべきではない | (無効あるいは有害であることを示す 良質のエビデンスがある) |
様々なAGA治療を5つの推奨度に分けてそれぞれの評価をおこなっていきます。
■男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
※引用元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
14種類のAGAの診療内容を推奨度別にランク分けをしています。特に「フィナステリド」「デュタステリド」「植毛手術」「アデノシン」は男性と女性でそれぞれに推奨度が異なりますので注意してください。
■男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインに記載の診療内容詳細
さらに、男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版に記載されている各診療内容をより詳しく解説していきたいと思います。
推奨度A:フィナステリドの内服
・商品名:プロペシア
・形状:錠剤
・効果:α還元酵素Ⅱ型とアンドロゲン受容体(レセプター)の結合を阻害することで、ヘアサイクル(毛周期)を正常化します。それに伴いAGAによるの脱毛(抜け毛)を抑制することが可能です。
・副作用:胃部不快感、性欲減退の可能性が一部あるとされています。
・入手方法:皮膚科やAGA専門クリニックでの処方
・相場:1ヶ月分(30錠)7,000円前後
・コメント:現在のAGA治療において最もスタンダードな治療薬といえます。
(→AGA内服薬の詳細はこちら)
推奨度A:デュタステリドの内服
・商品名:ザガーロ
・形状:ソフトカプセル
・効果:5α-還元酵素Ⅱ型と5α-還元酵素Ⅰ型がアンドロゲン受容体(レセプター)と結合を阻害することで、ヘアサイクル(毛周期)を正常化します。それに伴いAGAによるの脱毛(抜け毛)を抑制することが可能です。
・副作用:発生頻度が1%以上の副作用として「性欲減退」「勃起不全」「射精障害」「腹痛」が認められています。
・入手方法:皮膚科やAGA専門クリニックでの処方
・相場:1ヶ月分(30カプセル)10,000円前後
・コメント:フィナステリドと共にAGA治療においてスタンダードな役割を果たす内服薬です。まだ頭髪治療薬としての歴史は浅くフィナステリドとの効果の差はありないとされています。
(→AGA内服薬の詳細はこちら)
推奨度A:ミノキシジルの外用
・商品名:ロゲイン(リアップ)
・形状:液体
・効果:毛包に直接作用し、細胞の増殖やタンパク質の合成を促進することによって発毛作用を促す。
・副作用:頭皮の発疹、かゆみ、低血圧症
・入手方法:皮膚科やAGA専門クリニックでの処方(リアップの場合は薬局で入手可能)
・相場:1本6,000円前後(2~3ヶ月分)
・コメント:CMで「日本で唯一の発毛剤」と俳優の水谷さんが宣伝しているリアップは、このミノキシジルの外用に分類されます。また、海外で同成分でロゲインという塗り薬も同様の効果がありますが、日本の薬局では購入することがでず、AGAクリニックなどで処方してもらう必要があります。
推奨度B:自毛植毛術
・効果:自分の後頭部及び側頭部からドナー(毛法)を採取して、グラフト(移植する単位)に株分けして、それを薄毛の症状が出ている部位に移植をします。既にある髪の毛を
そのまま移植する為、薬とは異なり速攻性があります。なお、現在植毛というと、一般的に「自毛植毛術」を指す場合が多い。
・副作用:外科手術になる為、痛みや出血を伴います。また、ショックロスといわれる自己免疫による植えた髪の離脱も起こる為、植毛を受けてもその一部しか定着(頭皮に根付く)しないケースもあります。
・施術場所:植毛の病院
・相場:移植面積によるが100万前後~
・コメント:ロボットを活用したアルタス(ARTAS)などの技術の進歩が著しい治療法です。とはいえ、全てが全自動ではなく株分けなどは人の技術力が問われる部分なので、実績や症例数が豊富な病院で手術を受けられることをおすすめします。
推奨度D:人工毛植毛術
・効果:人工的にナイロンなどで制作された人工毛を毛根にそのまま埋める手術。自毛植毛とは異なり自分の髪が一切無い状況でも植毛をすることが可能になります。
・副作用:外科手術になる為、痛みや出血を伴います。また、自毛植毛とは異なり、完全な人工物を頭部に埋め込む為、頭皮に膿などが出やすくこまめなメンテナスが必要になります。その為、年々人工毛植毛術をする病院は減少傾向にあります。
・施術場所:植毛の病院
・相場:移植面積によるが100万前後~
・コメント:コストが高いながら異物を頭皮に埋め込むことから拒絶反応も起こり様々な副作用が想定され、その代償が非常に大きい。植毛の場合には「自毛植毛」を選択するべきでしょう。
推奨度B:LED および低出力レーザー
・効果:ミトコンドリアを活性化させて細胞エネルギーであるATP(アデノシン3リン酸)を作りだして毛母細胞を活性化させて髪を育てる効果が期待できます。
・副作用:用いられる光源の種類,波長,出力はデータによって様々なので、全てのLED および低出力レーザーに効果がある訳ではないので注意が必要。
・施術場所:ヘアサロンやAGA専門クリニック(一部)、家庭用レーザ機器も販売。
・相場:自宅用育毛用LED機器は10,000円前後
・コメント:大きな副作用もなく実施できる治療法。ただ、副作用が全くないというのは治療法として効果があるのか少し疑問におもってしまいます。風邪薬でさえ効果がある分、しっかり副作用がありますからね。あくまでシャンプーや育毛剤程度の「育毛」を期待した方が良いでしょう。
推奨度C1:アデノシンの外用
・効果:アデニンとリボース(糖)が結合したもので、血行促進、発毛促進因子(FGF-7)の生産、ヘアサイクルの退行期の延長などの効果が期待できます。
・副作用:認められている大きな副作用はありません。ただ、副作用が全くないというのは治療法として効果があるのか少し疑問におもってしまいます。またAGA(男性型脱毛症)のメカニズムに関与する成分は入っておらず脱毛の抑制効果などはありません。その為、自分の薄毛がAGA由来かどうかはしっかり判断して利用する必要があります。
(→自分がAGAか分かるAGAセルフチャックはこちら)
・入手場所:アデノシンなどの育毛剤全般
・相場:3,000円前後
・コメント:効果を発揮するためのアデノシン受容体はアデノシンよりもカフェインと優先的に結合するため、コーヒーやエナジードリンク、紅茶、緑茶などのカフェインドリンクを常用している方にはあまりおすすめしません。昔から育毛剤の成分に含まれている定番成分です。
推奨度C1:カルプロニウム塩化物の外用
・効果:血管拡張作用によろ頭皮の血行を促進して、毛乳頭細胞に酸素と栄養を共有して髪を生えやすくする効果が期待できます。
・副作用:皮膚のかぶれ、発汗など皮膚の炎症を発症する場合があります。
・入手場所:カロヤン プログレなどの育毛剤全般
・相場:3,000円前後
・コメント:効果を発揮するためのアデノシン受容体はアデノシンよりもカフェインと優先的に結合するため、コーヒーやエナジードリンク、紅茶、緑茶などのカフェインドリンクを常用している方にはあまりおすすめしません。昔から育毛剤の成分に含まれている定番成分です。
推奨度C1:t-フラバノンの外用
・効果:ヘアサイクルを乱すとされている毛乳頭細胞から生産されるTGF-βの活性化を抑制。それに伴いヘアサイクルを正常化する効果が期待できます。
・副作用:皮膚のかぶれ、発汗など皮膚の炎症を発症する場合があります。
・入手場所:サクセス 薬用育毛トニックなどの育毛剤全般
・相場:3,000円前後
・コメント:昔から育毛剤の成分に含まれている定番成分です。
推奨度C1:ケトコナゾールの外用
・効果:合成抗真菌薬と呼ばれており、脂漏性皮膚炎やフケ、かゆみを抑える効果があります。また、単独利用した場合でも5αリダクターゼを抑える育毛効果が期待できます。
・副作用:皮膚のかぶれ、発汗など皮膚の炎症を発症する場合があります。
・入手場所:皮膚科やAGA専門クリニックでの処方
・相場:3,000円前後(シャンプーに成分を配合)
・コメント:市販品としてケトコナゾールよりも1段階効果を落とした硝酸ミコナゾール配合のコラージュフルフルなどは薬局やドラッグストアに出回っていますので、ケトコナゾールに興味がある方はそちらから試してみても良いかもしれません。
推奨度C1:サイトプリンおよびペンタデカンの外用
・効果:髪の成長に必要な「タンパク質(エフリン、BMP)」の生成を促し、発毛促進シグナルを増幅する効果、脱毛を抑制する効果が期待できます。
・副作用:皮膚のかぶれ、発汗など皮膚の炎症を発症する場合があります。
・入手場所:ライオン社の薬用毛髪力などの育毛剤全般<
・相場:3,000円前後(シャンプーに成分を配合)
・コメント:昔から育毛剤の成分に含まれている定番成分です。
推奨度C1:かつら
・効果:全面接着式、編み込み式、医療用ウィッグなど最近ではその種類も細分化しています。
・副作用:装着時の皮膚のかぶれなど
・入手場所:カツラメーカー<
・相場:3,000円~100,000円以上(品質により大きく金額が異なる)
・コメント:最近では年配の女性の薄毛人口が増えてきたことにより、女性用ウィッグに人気が集まっています。昔は一目でバレるものも多かったのですが、最近では技術力も進み地毛との区別が付かないカスタムオーダーのカツラなども販売されています。
推奨度C2:ビマトプロストおよびラタノプロストの外用
・効果:緑内障の治療薬として利用され、その副作用としてまつ毛の発毛効果が見られ頭髪に転用。まつ毛の毛包に作用し、毛周期の成長期を長くする働きを持っていますが、まだ毛髪のまだ頭髪に効果がるかの検証がされいない。
・副作用:頭皮の発疹、かゆみ
・入手場所:皮膚科やAGA専門クリニックでの処方<
・相場:1,000円前後
・コメント:まつ毛には一定の効果が認められていますが、毛髪での治療において国内でも海外でもその症例は少ない。ただ、今後の症例や効果の検証によってその推奨度が引きあがる可能性もあります。
推奨度C2:成長因子導入および細胞移植療法
・効果:細胞の成長の引き金となるグロースファクター(成長因子)を頭皮に直接注入して、髪の成長や発毛を促す治療法。
・副作用:なし
・入手場所:皮膚科やAGA専門クリニックでの処方<
・相場:20,000円~100,000円前後(治療面積により異なる)
・コメント:HARG治療や育毛メソセラピーなどの成長因子を頭皮に直接注入する治療法はまだ歴史も浅く値段も高額です。しかし、iPS細胞などの最新医療の研究が進む中で何れ治療法としてのメインになってくる時代がくるかもしれません。
推奨度D:ミノキシジルの内服
・商品名:ミノキシジルタブレット
・形状:錠剤
・効果:血管拡張薬として開発され有効成分を錠剤の内服薬にしたもの。外用薬のリアップよりも高い発毛効果を得られるが、副作用と有効な臨床試験が日本にはまだない。
・副作用:低血圧症、体毛の成長、肝臓障害
・入手場所:AGA専門クリニックでの処方<
・相場:10,000円前後(治療面積により異なる)
・コメント:現在の最新のAGA治療病院であればフィナステリドの次にスタンダードなAGA治療薬。フィナステリドは抜け毛の予防ですが、日本で唯一髪が生えることが実感できる薬だと思います。しかし、ながら、有効な臨床試験が日本にはまだないため、推奨度はDとなっています。
(→AGA内服薬の詳細はこちら)
■2010年度版から2017年版を比較。改定で変化があった治療とは
2010年度と2017年度の男性型脱毛症診療(AGA)ガイドラインの各治療の推奨度の比較を一覧にしてみました。
治療内容 | 2010年版推奨度 | 2017年版推奨度 | 変化 |
---|---|---|---|
■フィナステリドの内服 | |||
男性型脱毛症 | |||
女性型脱毛症 | |||
■デュタステリドの内服 | |||
男性型脱毛症 | |||
女性型脱毛症 | |||
■ミノキシジルの外用 | |||
男性型脱毛症 | |||
女性型脱毛症 | |||
■植毛術 | |||
自毛植毛術 | |||
男性型脱毛症 | |||
女性型脱毛症 | |||
人工毛植毛術 | |||
■LED および低出力レーザー | |||
■アデノシンの外用 | |||
男性型脱毛症 | |||
女性型脱毛症 | |||
■カルプロニウム塩化物の外用 | |||
■t- フラバノンの外用 | |||
■ケトコナゾールの外用 | |||
■サイトプリンおよびペンタデカンの外用 | |||
■セファランチン | |||
■かつら | |||
■ビマトプロストおよびラタノプロストの外用 | |||
■成長因子導入および細胞移植療法 | |||
■ミノキシジルの内服 |
※新→2010年版には記載がなく、2017年から新しく評価に加わったもの
※消→2010年版には記載があったが、2017年から記載が消えたもの
※↑→2010年版と比較して2017年に推奨度が上がったもの
※→→2010年版と比較して2017年に推奨度が変わらなかったもの
※↓→2010年版と比較して2017年に推奨度が下がったもの
ディユタステリドの評価の追加
2015年9月28日にグラクソ・スミスクライン株式会社が製造したデュタステリドを有効成分とするザガーロが男性型脱毛症(AGA)治療薬として厚労省から製造販売承認を取得したことを受けて今回の2017年版に追加されたと考えられます。
推奨度に関しては 男性型脱毛症に対してはフィナステリドと同列の「A」であり、ディユタステリドとフィナステリドの治療薬としての優劣はないと読み取れます。
自毛植毛術の女性型脱毛症の評価の追加
新たに女性型脱毛症に対しての自毛植毛術の評価が加わり、推奨度は男性型脱毛症よりも低い「C1」に設定されています。
LED および低出力レーザーの評価の追加
頭皮にLEDライトや低出力レーザーを照射させる治療のの評価が加わりました。アメリカのFDA「アメリカ食品医薬品局」が認可を出したことを受けて、日本での評価対象に加えたことが考えられます。
アデノシンの推奨度が唯一格上げ
2010年度には「C1」の推奨度でしたが、2017年版には「B」に唯一格上げされました。何か革新的な治療薬や臨床データが出来た訳ではないので、唯一の格上げには大人の事情があるかもしれませんね。
また、女性型脱毛症に対しての評価が新たに加わり、こちらの推奨度は2010年度に据え置きの「C1」です。
セファランチンが評価対象外へ
2010年度のガイドラインでは「C2」と最も低い推奨度だったセファランチンが2017年度からは評価の対象外となりました。
かつらの評価の追加
古くからある「カツラ」が何故このタイミングで加わったのかは不明ですが、新たに評価に加わりました。大人の事情があるかもしれません。
ビマトプロストおよびラタノプロストの外用
まつ毛貧毛症治療薬として一部の医療機関で処方されていたのですが、頭髪に対しても有効ということで 新たに評価に加わりました。
ミノキシジルの内服の評価の追加
現在ほとんどのAGA治療病院といわれる男性型脱毛症を専門的に治療している病院で処方されているミノキシジルの内服薬の評価が加わりました。
【まとめ】最新2017年の男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインとは?2010年版との比較も検証
2010年から2017年の改定において、男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインに多くのAGA治療法が追加されたことでAGAに悩む方がにとっては選択肢が増えました。しかしながら、やはり最も治療効果の望めるA評価に関しては「内服薬のフィナステリド」及び「ミノキシジルの外用薬」の2強という状況からは変化はありませんでした。
ミノキシジルの内服薬に関しては、今やAGAの専門クリニックでは一般的に処方されている唯一の発毛薬ですが、効果云々の前に治験や臨床が無いことから「D」評価を貰ってしまったのは少し残念な気はしますが、今後はよりこの治療が一般化すれば効果が高い分、推奨度も一気に引きあがるでしょう。
そして、最近ではIPS細胞による再生医療も盛り上がりを見せる中で、次回の男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインの改定時には、「内服薬のフィナステリド」及び「ミノキシジルの外用薬」を越えるS評価の治療が出てくることを期待したいと思います。