ヘアサイクル(毛周期)のまとめ。メカニズムから抜け毛対策まで徹底解説

ヘアサイクル(毛周期)のまとめ。メカニズムから抜け毛対策まで徹底解説

ヘアサイクルの基礎知識からヘアサイクルを整える改善策を解説していきます。

ヘアサイクルとは


引用:花王ヘアケアサイト

ヘアサイクルとは毛周期とも呼ばれるで、いわば髪の毛が生えて→大きく太く育ち→やがて成長を止めて抜けていくという髪の毛の一生です。
ヘアサイクルの周期は髪の毛1本1本異なり、生えてきて→抜けて→また生えて…をグルグル繰り返しています。

ヘアサイクルは、髪の毛が大きく太く育つ「成長期」、成長が衰えてくる「退行期」、成長を完全に止め、髪の毛が生えている状態の「休止期」の3つから構成されています。
休止期の後髪の毛は抜け、やがて抜けた毛根から新しい髪の毛が生えてきます。

「成長期」「退行期」「休止期」では、髪の毛にどんな現象が起こっているのか、さらに詳しく解説していきます。

ヘアサイクルの成長期・退行期・休止期の図

成長期

成長期はその名の通り、髪の毛が大きく成長していく期間です。
成長期では、毛球の中にある毛母細胞が活発に分裂してできた細胞が上に押し上げられ、角化することによって髪の毛が伸びていきます。
成長期はヘアサイクル全体の90%を占めています。
成長期の期間はおよそ4年~6年で、女性の方がこの成長期が長いと言われています。
成長期が終わると、退行期へと移行していきます。

退行期

頭髪では、髪の毛が伸び続けると、ある時急に髪の毛を作る元の細胞である毛母細胞の細胞分裂が停止して髪の毛を作らない状態になります。その後、毛母細胞を含む毛球が縮んで消失して行きます。
さらに退縮が進行して行くと、毛根の根元と毛乳頭細胞が上へ上へと上がっていきます。
この毛球が縮んでいく期間を退行期と呼んでいます。
退行期はおよそ2~3週間ほど続き、休止期へと移行していきます。

休止期

休止期は髪の毛の活動が完全に停止した状態で、抜けず頭皮に留まっている状態で次の髪の毛が生えてくる準備をする期間です。
この期間は新しい髪の毛が生えてくることも、今生えている髪の毛が成長することもありません。
この休止期はおよそ3ヶ月~4ヶ月あり、成長が止まった髪の毛は次の成長期に入った新しい髪の毛に押し出されるようにして抜け落ちます。
休止期はヘアサイクル全体のおよそ10%を占めています。

通常だと髪の毛1本1本のヘアサイクルがずれているから、一気に抜け落ちてしまった!なんてことがないんですね!
鈴木亮輔
ヘアサイクルの大きな流れがわかったところで、毛根内ではどんな現象が起こっているのか、解説していきます。

ヘアサイクルに起こる毛根内の現象について

休止期を終えて、新しい髪の毛が誕生するまでに、毛根でどんなことが起こっているのでしょうか。
その始まりは毛乳頭細胞です。
この毛乳頭細胞から次の毛根を作る指令因子が出されると、毛包にある幹細胞が反応し、新しい細胞が誘導されていき、毛芽と呼ばれる髪の毛の赤ちゃんが誕生します。
さらに毛乳頭細胞はヘアサイクルの変化にも重要な役割を担っています。
毛乳頭細胞は、成長期では毛母細胞の細胞分裂を促す物質である成長因子をだし続けています。
しかし、あるときこの成長因子の放出をやめて今度は細胞増殖抑制因子を出し始めます。
すると毛母細胞は細胞分裂をしなくなり、毛を作らなくなっていきます。
これが退行期の始まりです。このように毛乳頭細胞は毛の発生やヘアサイクルのほとんどを調整する、いわば司令塔の役目をしています。

ヘアサイクルは無限に繰り返すのか?

ヘアサイクルは一生の間で15回程繰り返すと考えられています。
約6年で1回の周期を迎えると仮定すると単純計算で、90歳くらいまでヘアサイクルがあるということになります。
しかし、老化現象によってヘアサイクルの期間が短くなり、休止期・退行期に該当する毛の量が増えてしまいます。その結果加齢とともに髪のボリュームがなくなっていってしまうのです。
また、AGA(男性型脱毛症)もヘアサイクルの乱れと大きく関係しています。
AGA(男性型脱毛症)の場合、男性ホルモンの1種であるテストステロンが5αリダクターゼと結合して“ジヒドロテストステロン”に変換され、そのジヒドロテストステロンがアンドロゲンレセプターと呼ばれる受容体と結合することで、ヘアサイクルが乱れて成長期・退行期・休止期の回転が極端に早まることで抜け毛が増えていきます。

ヘアサイクルが早くなってしまうってことは、1本の髪の毛が持つヘアサイクルの上限数を早く消化していってしまうということですよね?
鈴木亮輔
その通りです。
よく「薄毛対策・治療はお早めに」など言われていますが、それはヘアサイクルには上限があり、その上限を超えてしまうと改善の見込みがなくなってしまうからなのです。

ヘアサイクルで抜ける毛の量

ヘアサイクルが正常であれば、抜け毛の量は50~100本くらいとされています。
抜けた毛は、太く丈夫で根元から毛先まで均一な太さがあるのが特徴です。
ヘアサイクルが乱れると、成長期が短くなり髪の毛が太く大きく成長しないため、抜ける毛が細く柔らかく弱弱しくなってしまいます。
一日に100本以上の本数の髪の毛が抜ける場合は脱毛症の可能性が考えられます。

ヘアサイクルが乱れる原因

ヘアサイクルが乱れる原因には以下の4つが考えられます。

季節変化

月ごとの抜け毛の量の変化を示した図
引用:AGA-news

ヘアサイクルは季節変化で乱れる傾向があります。
特に秋口の抜け毛が多くなると感じる方が多いようですが、それは成長期にある髪の毛の比率が季節が要因で変化しているためです。
休止期の毛の量が最も多くなるのは7月と言われています。
休止期はおよそ3ヶ月の期間かけて終了していくので、10月くらいまでは自然脱毛が増加するということになります。

ストレス

慢性的にストレスを受けると自律神経が乱れます。すると、ヘアサイクルが乱れ、抜け毛・薄毛に繋がります。適度に休んだりスポーツをしたり自分なりのストレス発散法を見つけておくことが大切です。

生活習慣の乱れ

睡眠時間が短くなったり、睡眠が浅く質の悪い睡眠になっている場合はヘアサイクルが乱れてしまう可能性があります。
熟睡中は成長ホルモンと呼ばれる体の成長や修復を促すホルモンが分泌されます。
睡眠の時間がしっかり確保できず、質も悪いと日中受けた体内のダメージを修復できないのです。

AGA(男性型脱毛症)

AGA(男性型脱毛症)のヘアサイクルが乱れるメカニズムの図
引用:AGA-news

AGA(男性型脱毛症)は男性ホルモンの1種であるテストステロンが、5αリダクターゼ還元酵素と結合する事によってより強力な男性ホルモンである「ジヒドロテストステロン」になります。ジヒドロテストステロンはさらにアンドロゲンレセプターと呼ばれる受容体と結合すると、毛母細胞の細胞分裂を抑制し、髪の生成が行われなくなることでヘアサイクルが乱れていきます。

季節変化による脱毛は「またこの季節が来たなぁ」程度に留め、深く考えすぎなくてもいいでしょう。また生活習慣でもヘアサイクルの乱れがあるので、不規則な生活に心当たりがある場合は、食生活や上手なストレス発散で改善することが期待できます。
ただそれでも抜け毛の量が減らない場合は、一度皮膚科や薄毛専門の病院の診察を受けてみることをおすすめします。
ヘアサイクルには上限があるので、早め早めの対策で結果も大きく変わってくるのです。

ヘアサイクルを整える方法

ヘアサイクルを整え、正常化する方法には2つの種類の成分が有効です。
1つ目はフィナステリド、2つ目はデュタステリドです。
どちらも5αリダクターゼ還元酵素とテストステロンの結合を阻害する効果があります。
以下で詳しく解説していきます。
成分の特徴を理解して、自分にある対策を取り込むことが大切です。

フィナステリド

フィナステリドとは別名「5α還元酵素阻害剤」とも呼ばれています。
先程、ヘアサイクルが乱れる原因の1つであるAGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモン・テストステロンと5αリダクターゼ還元酵素が結合してジヒドロテストステロンになることが始まりと解説しましたが、このフィナステリドはこの2つが結合することを阻害することでジヒドロテストステロンの発生が抑制され、ヘアサイクルの乱れの原因を軽減させます。
5αリダクターゼ還元酵素にはⅠ型とⅡ型があり、フィナステリドはAGA(男性型脱毛症)と深く関係しているⅡ型とテストステロンの結合を抑制します。

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デュタステリド

デュタステリドもフィナステリド同様、5αリダクターゼ還元酵素とテストステロンの結合を阻害します。フィナステリドとの違いは、デュタステリドは5αリダクターゼ還元酵素Ⅰ型とⅡ型に作用します。
ただ、デュタステリドは液体で安定する性質があるので管理が難しい・金額が高くなるなどのデメリットがあります。

ヘアサイクルに改善に要する期間

ヘアサイクルを改善するには最低6ヶ月は様子をみる必要があります。
ヘアサイクルの改善に取り組んでも、すぐに結果が出ることはありません。
対策をはじめると、弱弱しい成長期の髪が一旦抜け落ちて、新しい元気な髪へと生え変わる必要があります。その期間がだいたい6ヶ月ほど掛かると考えられているので、ヘアサイクルの改善には少なくとも半年は時間を要するのです。

まとめ

ヘアサイクルの特徴やメカニズムと、ヘアサイクルが乱れてしまう原因や対策を解説していきました。
ヘアサイクルから考えると、抜け毛は新しい髪の毛を誕生させる正常なメカニズムなので問題ありません。
ただ、抜け毛の量が多い場合脱毛症の可能性が考えられるので、早めに医師の診察をおすすめします。ヘアサイクの数は上限があるのです。

本記事の寄稿者情報

鈴木亮輔
31歳独身。趣味はPCの自作と猫カフェ巡り。新宿のIT会社に勤務するサラリーマンです。20代中盤から徐々に抜け毛が増えて薄毛(M字部分)になり始め、長年に渡り自身で育毛剤を自作するなどの抜け毛や薄毛の改善方法を模索した実体験や、AGAクリニックの通院体験を活かして記事の執筆をしています。薄毛に悩む人は一人でも減ることを祈って、薄毛や育毛対策に有効となる情報を発信をしていきます。
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