フラバンジェノールが髪の毛の元となる細胞を増加させる?気になる成分を解説

フラバンジェノールが髪の毛の元となる細胞を増加させる?気になる成分を解説

株式会社東洋新薬が、九州大学大学院農学研究院と共同で「フラバンジェノール」には育毛作用の可能性があることを確認し、その研究結果を日本食品科学工学会第65回大会において発表しました。

フラバンジェノールとは

フラバンジェノールとはフランス南西部のランド地方に広がる海岸松の樹皮から抽出された天然由来のポリフェノールを原料とした東洋新薬が開発した独自素材です。
ポリフェノールは植物が成長していくために欠かせない成分です。
フラバンジェノールにはオリゴメリックプロアントシアニジン=OPCという成分を主成分としたポリフェノールを豊富に含んでいます。
美容においては、美白作用や抗シワ作用が確認されています。

フラバンジェノールが育毛作用をもたらすメカニズム

株式会社東洋新薬が、九州大学大学院農学研究院との共同研究において確認された育毛作用について解説していきます。

今回、当社と九州大学大学院農学研究院 片倉喜範准教授はフラバンジェノールの育毛作用の新たなメカニズムとして、皮膚の最外層である表皮に存在するテロメラーゼを
活性化することを確認し、日本食品科学工学会第65回大会(2018年8月22日(水)~24日(金)、東北大学)において発表しました。
東洋新薬

まずここで皮膚の構造についておさらいしておきます。
皮膚は、皮膚表面から順に表皮→真皮→皮下組織の3層から構成されています。
一番外側に位置している表皮は、さらに細かく見てみると細胞が幾重にも重なってできているのが分かります。
表皮は体の部位によっても厚みが違いますが、0.1~1mm位と非常に薄い層です。
表皮は、表皮細胞が絶えず細胞分裂を繰り返していくことで次々と新しい表皮が生まれています。

皮膚の構造について詳しく

髪が誕生し成長する基盤である“皮膚”の構造を解説

研究結果によると、フラバンジェノールには表皮に存在するテロメラーゼを活性化する力があることが確認されています。

テロメラーゼとは

テロメラーゼは細胞の分裂寿命を司るテロメアを伸長させる酵素です。
「テロメアを伸長させる??何のこと??」
ちょっと分かりにくいかもしれないので「テロメアを伸長させる」とは一体どういうことなのか、解説していきたいと思います。

私達の体内にある細胞の大半は細胞分裂できる回数が決まっています。
これには、染色体の末端に位置しているテロメアが深く関係しています。
テロメアは「細胞分裂の回数券」のようなもので、細胞分裂が行われると、テロメアが少しずつ失われていきます。
つまり、テロメアは細胞分裂の回数を測る尺度として機能し、細胞の寿命に大きく関係していると考えられています。

フラバンジェノールがテロメラーゼを活性化させることによってテロメアが伸長すると、細胞分裂の回数の寿命が延び、細胞老化を抑制することができると考えられています。
また、マウスを用いた研究から、表皮のテロメラーゼを活性化させることで毛髪が成長することが確認されています。

研究結果では、マウスの表皮のテロメラーゼを活性化させることで休止期にいた毛包を成長期へと急速な移行を引き起こしたことが確認されています。

テロメラーゼによって休止期から成長期に移行した毛包の画像

Conditional telomerase induction causes proliferation of hair follicle stem cells.

皮膚切片を20倍の大きさで確認した写真です。
テロメラーゼ(TERT)を添加して50日後の様子を見ると休止期だった毛包が成長期に移行しているのが確認できます。
(★→休止期の毛包 矢印→成長期の毛包)

テロメラーゼの添加によって毛が増加したラットの画像

Conditional telomerase induction causes proliferation of hair follicle stem cells.

テロメラーゼ(TERT)を添加したものとそうでないラットを比較すると、テロメラーゼを添加したラットの方が毛の成長が見られます。

この研究データからテロメラーゼには、毛を休止期から成長期へ急速な移行を引き起こす効果あると言えます。

フラバンジェノールの育毛作用に関する研究内容

フラバンジェノールの育毛作用に関する研究の内容について解説していきます。

① ヒト表皮角化細胞にフラバンジェノールを添加し、細胞寿命を延長するテロメラーゼ(TERT)の遺伝子発現量および毛髪の成長期から退行期への移行を促進するTGFβ1の遺伝子発現量を定量的RT-PCR法※により解析しました。
東洋新薬

※ RT-PCR法
遺伝子を増幅させることで、その遺伝子の発現量を定量的に測定する方法

ここで、成長期や退行期とは一体何の期間なのか確認しておきましょう。
髪の毛は、髪の毛が大きく育つ「成長期」、成長が衰えてくる「退行期」、成長を完全にストップさせ、髪の毛が生えている状態である「休止期の」3つから構成していてこれをヘアサイクルと呼んでいます。
ヘアサイクルは髪の毛1本1本異なり、グルグルと繰り返しています。

ヘアサイクルについて詳しく

ヘアサイクル(毛周期)のまとめ。メカニズムから抜け毛対策まで徹底解説

つまりフラバンジェノールが、成長期から退行期への移行を促進させるTGFβ1を減少させることが確認できたらヘアサイクルを整え抜け毛を抑制し、育毛作用が期待できるということですね!
鈴木亮輔
その通りです!

フラバンジェノールの育毛作用

フラバンジェノールの添加によりテロメラーゼの発現量が増加し、さらにヘアサイクルを成長期から退行期への移行を促すTGFβ1の発現量が減少することが確認されました。

細胞分裂の回数寿命が延び、髪の毛のヘアサイクルが退行期に移行するのが抑制されたということが確認されたんですね!

これまで、フラバンジェノールの育毛作用メカニズムとしては、血流改善作用、抗酸化作用が考えられていましたが、今回の共同研究の結果から、フラバンジェノールはヒト表皮細胞において、毛のもととなる細胞を増加させることで毛髪の成長を促進し、さらには毛髪の成長期から退行期への移行を抑制するという、新たな育毛作用メカニズムを有することも示唆されました。

まとめ

フラバンジェノールという海岸松から抽出したポリフェノールを原料とした東洋新薬が開発した独自素材には、①髪の毛の元となる細胞を活性化させることで休止期にいた毛包を成長期へと急速な移行させ育毛を促す。②成長期から退行期への移行を促すTGFβ1の発現量を減少させることで抜け毛を抑制させる。
という育毛作用が確認されました。
現在は育毛作用が確認できたという段階なので、今後フラバンジェノール配合の育毛剤などが登場するかもしれません。

本記事の寄稿者情報

鈴木亮輔
31歳独身。趣味はPCの自作と猫カフェ巡り。新宿のIT会社に勤務するサラリーマンです。20代中盤から徐々に抜け毛が増えて薄毛(M字部分)になり始め、長年に渡り自身で育毛剤を自作するなどの抜け毛や薄毛の改善方法を模索した実体験や、AGAクリニックの通院体験を活かして記事の執筆をしています。薄毛に悩む人は一人でも減ることを祈って、薄毛や育毛対策に有効となる情報を発信をしていきます。
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