新たに承認された皮膚炎治療薬に思わぬ発毛効果。全頭性脱毛症の少女の髪の毛が劇的に生える(米研究)

新たに承認された皮膚炎治療薬に思わぬ発毛効果。全頭性脱毛症の少女の髪の毛が劇的に生える(米研究)

薄毛改善に期待できるニュースが飛び込んできました。
それは皮膚炎の治療薬に薄毛を改善させる効果が隠されていたというもの。
全頭性脱毛症を患っていた少女に髪の毛が生えてきたということで、紹介してきたいと思います。

ニュースの内容について

まず、ニコニコニュースで掲載されていたニュースの内容を紹介致します。

新開発の皮膚炎の治療薬に意外な効果が隠されていた。長い間。全頭性脱毛症を患っていたある少女の髪の毛が劇的に生えてきたのだ。
ニコニコニュース

少女は2歳の頃から髪が生えておらず、様々な治療薬を試みても効果が無く、髪の毛が生えてこなかったそうです。
しかし、この少女に2017年米国食品医薬品局で新たに認可された治療薬『デュピルマブ(Dupilumab)』を使用したところ、偶然発毛効果が発見されました。

デュピルマブとは

デュピルマブ
NIKKEI STYLE
デュピルマブは既存の治療では不十分アトピー性皮膚炎の治療薬として、世界で初めて承認された抗体医薬です。

予期せぬ発毛効果

アトピー性皮膚炎の患者は自己免疫疾患になりやすいと考えられています。
自己免疫疾患とは、自分自身の正常な細胞や組織を敵だと誤認して攻撃してしまう病気です。
通常、体内では細菌やウイルスなどの外敵から守るために免疫系が作用していますが、自己免疫疾患にかかると健康な細胞まで『外敵!』と認識してしまい、排除しようと攻撃してしまいます。
これは、健康な毛包にも影響が及ぶことがあり、これまでの研究ではアトピー性皮膚炎と全頭性脱毛症に関係があることや、皮膚炎のある方は薄毛になりやすいことが明らかになっていました。

今回の少女は13歳で、生後7ヶ月のときから過剰な反応を示す免疫系を抑えるために、いくつもの薬を服用してきた経歴があり、思うような結果は得られませんでした。
1つ、2つは皮膚炎を多少緩和させる効果はあったそうですが、抜け毛を直すことまでの効果はなかったと言います。

ところがデュピルマブは皮膚炎の緩和だけでなく、薄毛の改善も効果がありました。
注射をして6週間後には頭にうっすらと産毛が生えてきたそうです。
その画像がこちらです。

デュピルマブを使用して6か月後の頭
頭頂部と後頭部の写真になりますが、右の写真には、後頭部の首の付け根あたりにうっすらと産毛が生えているのが確認できます。

デュピルマブを使用して11か月後の頭
こちらの写真は、デュピルマブを服用して11か月後の写真です。
約1年で驚くほど髪の毛が生えてきたことが確認できます。

なぜデュピルマブが髪の生えた理由として考えられたのか

少女に髪の毛が生えてきた理由にデュピルマブが考えられた理由は、保険の都合でしばらく投薬が中断されると、新しく生えてきた髪の毛が抜け始めてしまったからだそうです。
マサチューセッツ総合病院のマリアンナ・マクレデス・セナ氏は以下のように考えています。

「現時点では、ドゥピルマブがほかの患者でも発毛効果を発揮するか分かりません。でも、ひどい皮膚炎のある患者や円形脱毛症の患者などにも有効ではないかと睨んでいます」

現在、臨床試験の許可もすでに申請されていて、発毛効果を確かめる準備がなされている層です。
また、この研究についてはJAMA Dermatologyに掲載されています。

まとめ

自己免疫疾患は体内の健康面だけでなく、薄毛という大きな外見の悩みも少女に与えていたことが想像できます。
その中で、このような偶然の発見は同じように薄毛に悩む方にとって希望になるニュースだと考えられます。
現在薄毛の治療で使われているミノキシジルは元々高血圧患者に向けて開発された薬であり、プロペシアは前立腺肥大の治療薬として開発された経緯があります。
どちらも薄毛改善の目的で開発されたのではなく、偶然副作用にて効果が発見された治療薬です。
つまり、このドゥピルマブにもその可能性が秘められているということです。
臨床試験の結果、確かなエビデンスのもと発毛効果が確認されたならば、新たな薄毛で悩む方々の救世主になるかもしれません。

本記事の寄稿者情報

鈴木亮輔
31歳独身。趣味はPCの自作と猫カフェ巡り。新宿のIT会社に勤務するサラリーマンです。20代中盤から徐々に抜け毛が増えて薄毛(M字部分)になり始め、長年に渡り自身で育毛剤を自作するなどの抜け毛や薄毛の改善方法を模索した実体験や、AGAクリニックの通院体験を活かして記事の執筆をしています。薄毛に悩む人は一人でも減ることを祈って、薄毛や育毛対策に有効となる情報を発信をしていきます。
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