ミノキシジルを活性化する“硫酸移転酵素”はカッコンエキスで増加する?そのメカニズムについて解説

ミノキシジルを活性化する“硫酸移転酵素”はカッコンエキスで増加する?そのメカニズムについて解説

AGA(男性型脱毛症)の治療をしている人なら聞いたことがある、もしくは現在使用しているミノキシジル。このミノキシジルの効果は“硫酸移転酵素”によって左右し、よく働いている人はミノキシジルの効果が上がりやすく、逆に硫酸移転酵素の働きが悪い人はミノキシジルの効果が上がりにくいそうです。そして、この硫酸移転酵素はカッコンエキスによって増加すると言われています。その真偽を調査致しました。

ミノキシジルについて

当サイトでも何度か登場しているミノキシジル。
再度、AGA(男性型脱毛症)治療薬として使われているミノキシジルについて解説していきます。

ミノキシジルとは

ミノキシジルは当初、高血圧患者に向けて血管拡張剤として開発された薬です。
その後、臨床実験の際多毛症の症状が現れる可能性が分かり、脱毛症を回復させる作用があるとして開発され、薄毛治療薬として使われています。

ミノキシジルによる発毛効果のメカニズム

ミノキシジルは、髪の毛が作られる基になる毛包に直接作用します。
毛包の最深部には“毛球”という部分があり、この毛球には毛乳頭とそれを取り囲むようにして毛母細胞が存在しています。
毛乳頭は毛母細胞に“細胞分裂をして髪の毛を作って下さい”と指令を出します。
その指令を毛母細胞がキャッチすると細胞分裂が起こり、髪の毛が生えてきます。
この指令は、正式には“成長因子”と呼ばれています。
ミノキシジルは、この成長因子の分泌を促し、成長因子が毛母細胞に刺激を与えることで細胞分裂が促進され発毛を促すのです。

AGA治療薬ミノキシジルの効果や特徴について 

ミノキシジルは“硫酸化”することで活性化する?

今回ミノキシジルについて明らかになったのは、「ミノキシジルは硫酸化することで活性化する」ということです。
ミノキシジルは生体内の酵素の働きによって「硫酸ミノキシジル」に変化します。

硫酸化とは?

硫酸の化学式は「H2SO4」。そして、硫酸イオンは「SO4²-」になります。
この硫酸イオンが、他のある物質と結合することを「硫酸化」と言います。
物質が硫酸化すると、生体内での働きが変化します。

ではミノキシジルが硫酸化し、「硫酸ミノキシジル」に変化した場合、効果はどのようになるのでしょうか?
ミノキシジルが硫酸化し、硫酸ミノキシジルに変化した場合、より効果が高まり発毛を促進させる効果が期待できます。一説には、硫酸ミノキシジルの発毛効果はミノキシジルと比べて14倍も高まると言われています。
ミノキシジルは生体内で硫酸ミノキシジルに変化することで活性化し、発毛効果を上昇させるのです。

このミノキシジルを硫酸化させる酵素を「硫酸移転酵素」と呼びます。

因みに、この硫酸移転酵素は肝臓や血小板、表皮細胞などに存在しています。
つまり、ミノキシジル外用薬を頭皮に塗布した場合、表皮細胞の硫酸移転酵素の働きで硫酸ミノキシジルに変化して活性化された状態になり、毛乳頭細胞に働きかけることが出来ます。
一方、内服薬のミノキシジルの場合、主に肝臓に存在する硫酸移転酵素の働きでミノキシジルが硫酸化し、発毛に有効に作用します。

ミノキシジル効く人・効かない人がいるのは硫酸移転酵素によるもの

ミノキシジルには効果が現れやすい人、現れにくい人がいます。
その原因は硫酸移転酵素が関係しているということが最新の研究で明らかになってきています。
研究は、ミノキシジル外用薬を用いて「ミノキシジルが効く人」と「ミノキシジルが効かない人」のグループに分けて、毛包の硫酸移転酵素の活性化との関係性について調べたものです。
この結果、「ミノキシジルが効かない人」のグループのほとんどは毛包の硫酸移転酵素の活性が低く、逆に「ミノキシジルが効く人」のグループは硫酸移転酵素の活性が高いことが確認されています。

いままでもミノキシジルの効果には個人差があることが分かっていましたが、この実験の結果から、その差は硫酸移転酵素の量に関係していると考えられると言えます。
つまり、この硫酸移転酵素を増やす方法が判明すれば、ミノキシジルの効果が出にくかった人でも効果を発揮させることが出来ると考えられます。

硫酸移転酵素は「カッコン(葛根)エキス」と「ゲンチアナエキス」が増加させる

硫酸移転酵素を増やす効果がある成分として「カッコン(葛根)エキス」が注目されています。

カッコンエキスが硫酸移転酵素を活性させるグラフ
PRTIMES

カッコンエキスとは

カッコンとは“葛根”と表記され、その名の通りクズ(葛)という植物の根を乾燥させた生薬です。葛は日本にも自生しているマメ科のつる性の植物で、根にはデンプンを多く含んでいます。このデンプンを精製したのが「葛粉(くずこ)」と呼ばれるもので、和菓子の葛餅や葛切りに使われます。
カッコンエキスとは、この葛の根から抽出した成分です。
カッコンエキスには保湿作用があり、カッコンエキスを配合した化粧品やスキンケア用品にも配合されています。

カッコンエキスと硫酸移転酵素とミノキシジル

カッコンエキスを培養したヒト表皮細胞に添加する実験を行ったところ、硫酸移転酵素遺伝子の発現が増強することが分かりました。
つまり、頭皮にカッコンエキスを塗布すると、表皮の硫酸移転酵素が増加する可能性があるということです。

これはカッコンエキスが直接発毛効果を発揮するのではありません。
またカッコンエキスが直接ミノキシジルと反応するわけでもありません。
カッコンエキスが表皮の硫酸移転酵素を増加させ、この硫酸移転酵素の働きでミノキシジルが硫酸ミノキシジルに変化することでミノキシジルに発毛効果が高まるといったメカニズムです。

まとめ

ミノキシジル外用薬、つまりミノキシジル配合の育毛剤は使用者の約98%が何らかの発毛効果をもたらすという実験結果があるように、発毛効果の期待できる成分です。
しかし、体質によっては効果が弱かったり、効果が現れるまで時間がかかってしまう方がいるのも事実です。
しかし、頭皮にカッコンエキスを与え硫酸移転酵素の働きを活性化することができたらミノキシジルの効果が薄かった方でも発毛が期待できるかもしれません。

本記事の寄稿者情報

鈴木亮輔
31歳独身。趣味はPCの自作と猫カフェ巡り。新宿のIT会社に勤務するサラリーマンです。20代中盤から徐々に抜け毛が増えて薄毛(M字部分)になり始め、長年に渡り自身で育毛剤を自作するなどの抜け毛や薄毛の改善方法を模索した実体験や、AGAクリニックの通院体験を活かして記事の執筆をしています。薄毛に悩む人は一人でも減ることを祈って、薄毛や育毛対策に有効となる情報を発信をしていきます。
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