
独特の香りがあり、スイーツやパン、飲み物で多く使用されているシナモン。このシナモンの育毛・薄毛対策に関する研究報告について調査しました。育毛・薄毛対策以外のシナモンの健康効果や、効果的な摂取法と共に紹介いたします。
目次
育毛環境を向上!シナモンとは一体何か?
シナモンとは西洋肉桂(せいようにっけい)と呼ばれる、クスノキ科の常緑樹の皮を剥ぎ乾燥させたものです。産地や製法、育てている種類の違いなどで厳密にはスリランカ産のものだけをシナモンと呼ばれています。
一方、東南アジアなどで生産されているものは「カシア」、日本で生産されているものは「ニッキ」、漢方薬で使われるときは「桂皮」と呼ばれ、風味や成分に若干の違いがあります。
シナモンには樹皮を細長く棒状に丸めて乾燥させたスティックと、乾燥させた樹皮を粉末状にしたパウダーがあり、用途によって使い分けられます。
シナモンに含まれる薄毛・育毛に効く栄養成分とは?
シナモンは香りだけだと思われがちですが、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン(ビタミンB3)、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛などの成分が含まれています。
特に皮脂の分泌を抑え、頭皮を清潔に保つ働きをするビタミンB2、アミノ酸を髪の毛の材料であるケラチンに合成する働きをする亜鉛は、特に薄毛対策に効果のある成分です。
また、シナモンには血流を改善し血行を促進する効果があります。
シナモンに秘められたシンナムアルデヒドをはじめとする血行促進効果とは?
頭皮には沢山の毛細血管が張り巡らされていて、毛根に必要な栄養素や酸素を運ぶ役割を果たしています。
この毛細血管はストレスや冷えで萎縮し血行が悪くなり抜け毛や薄毛を招く原因になりますが、そもそもこの毛細血管が丈夫でないと隅々まで栄養が届かなくなってしまいます。
毛細血管が丈夫でない状態というのは、血管内皮細胞とそれを覆う壁細胞の二重構造になっている血管の壁細胞が剥がれてしまった状態です。その状態になると、そこから血液が漏れてしまい毛細血管の役目が半減してしまいます。
加齢によって減少する活性化Tie2(タイツー)の量を増加させ、皮膚毛細血管の機能を正常化させる成分を開発すべく200種以上の天然由来成分を探索した結果、ケイヒ(桂皮)エキスにその効果があることを世界で初めて発見しました。
皮膚毛細血管にケイヒエキスを適用すると、Tie2(タイツー)を活性化し、過度なもれを回復させることを確認しました。
引用:資生堂
資生堂がソウル大学と共同で20~80代までの毛細血管を調べたところ、40代以上後半の被験者に、壁細胞が剥がれてしまい二重構造を維持できてない毛細血管が発見されました。
この状態を改善する為には毛細血管細胞の中にあるTie2(タイツー)という受容体を活性化することが必要です。
活性化させるにはアンジオポエチンという成長因子が必要になりますが、シナモンに含まれるシンナムアルデヒド(桂皮アルデヒド)がアンジオポエチンと同じような働きをする為、シナモンを摂取することでTie2細胞が活性化され、2~3時間で毛細血管が修復されるという研究結果が発表されています。
血流改善・血行促進効果のあるシナモンは、頭皮全体に育毛に有効な栄養を行き届かせる効果があり、育毛環境を向上させて薄毛を改善する効果が期待できる食品であると言えます。
薄毛・育毛効果だけではない!シナモンの健康効果とは?
漢方としても利用されるシナモンには、薄毛・育毛対策以外にも、以下のような様々な健康効果も期待できます。
- 肌のしみ、しわ、たるみ、くすみの改善
- 冷え性の改善
- 骨粗しょう症の予防
- アルツハイマー病の予防
- 脳卒中の予防
- 心筋梗塞の予防
- 脳の認識機能、記憶力の向上
- リラックス効果
薄毛・育毛対策に今すぐ実践したい!シナモンのオススメの食べ方とは?
シナモンは独特の香りがありますが、味はなくそのまま摂取するのは難しいところがあります。以下で摂取しやすい方法を紹介します。
- ミルクティーにシナモンパウダーを入れてチャイ風にして飲む。
- コーヒーにシナモンパウダーを入れる。
- 食パンにシナモンと砂糖を混ぜてふりかけトースターで焼き、シナモントーストで食べる。
- 温めたワインにシナモンパウダーを入れ、ホットワインにして飲む。
- バナナやカレーに振りかけて食べる。
シナモンの香り自体が苦手な方は、サプリメントから摂取することをオススメします。ネットなどで、600mg 120粒入り 800円程度で購入可能です。
薄毛・育毛対策を目的とした1日のシナモンの適切な摂取量
資生堂の研究によると、シナモンの1日あたりの摂取量は0.6gが最適だと言われています。
一度に大量に摂取するのではなく、毎日適量を摂取することが大切であると言えます。
シナモンを摂取する上での注意点とは?
シナモンにはクマリンという香り成分があり、これを過剰に摂取すると肝機能障害を引き起こす可能性があるとドイツのBfrという機関が指摘しています。
Bfrによるとクマリンを摂取し続けても影響が出ない許容量は、体重1kgあたり0.1mgと発表されているので、体重60kgの人の場合、6gまでとなります。
豆知識!シナモンの歴史とは?
シナモンは世界で最も古い香辛料と言われていて紀元前4000年前から使われています。このシナモンは生薬だけでなく、鉄器と共に取引されたり、古代エジプトではミイラの防腐剤として使用され重宝されてきました。
日本では8世紀前半に漢方薬として輸入され、正倉院殿に奉納されました。樹木として入ってきたのはずっと後の江戸時代になってからと言われています。
最後に
シナモンには直接的な発毛効果は科学的に証明されていません。しかし、血行が良くなることで頭皮全体に育毛に必要は栄養素を行き届かせることができ、育毛・発毛環境を向上させられると考えられます。