髪が誕生し成長する基盤である“皮膚”の構造を解説

髪が誕生し成長する基盤である“皮膚”の構造を解説

頭髪は皮膚で造られる体表面の構造物なので、髪の毛と皮膚は大きく関係していると言えます。
今回は頭髪を生み、大きく育っていく、まさに大地ともいえる皮膚の構造を解説していきます。

皮膚を構成する3つの層について

皮膚の図解
皮膚は皮膚表面から順に表皮、真皮、皮下脂肪織の3層から成り立っています。
それぞれの層の特徴や性質について解説していきます。

表皮

表皮の図解
表皮をさらに詳しく説明した図解
表皮は、皮膚の一番外側の層で細胞が幾重にも重なって構成されています。
体の部位によっても違いますが、厚みは0.1~1mm程度で、足の裏の表皮が最も厚くなっています。
表皮を作る細胞は表皮細胞といいます。
表皮細胞は、真皮に接する部分である基底細胞層という一層の細胞からなり、ここで一定の割合の細胞が絶えず細胞分裂を起こし、次々に新しい表皮細胞が生まれています。

生まれた表皮細胞は有棘(ユウシ)細胞層、顆粒(カリュウ)細胞層、角質細胞層の順番で、皮膚表面に向かって移動していき、最終的には表皮表面まで到着した表皮細胞は死んで、角質細胞になります。

角質細胞は数層~10数層重なった丈夫な層です。
角質細胞と角質細胞の間にはセラミドが充満していて皮膚のバリア機能の役割を担っています。

真皮

真皮の図
真皮は主に膠原繊維(コウゲンセンイ)、弾力繊維(ダンリョクセンイ)、基質からなる組織で血管や神経が走っている層です。
3つの組織の役割は以下の通りです。

膠原繊維(コウゲンセンイ)

膠原繊維は真皮全体を形作り、皮膚を壊れにくく丈夫な構造にする役目を担っています。

弾力繊維(ダンリョクセンイ)

弾力繊維は膠原繊維の束の間に均等に分布して、皮膚の弾力性を保つ役割を担っています。

基質

基質は、膠原繊維や弾力線維の間を埋めるタンパク質や糖タンパク質で、繊維と繊維を繋ぐ糊のようなものや水分を保持するもの、細胞の活動に役立つものなど、様々な役割の物質が存在しています。

真皮は大きく分けて3つの組織から構成されているんですね!
でも、この繊維や基質ってどこから作られるのですか?
鈴木亮輔
これらの繊維や基質の大部分は、真皮にパラパラと分布している線維芽細胞で作られています。

皮下脂肪織

皮下脂肪織の図
皮下脂肪織はその名のとおり脂肪細胞で充満した層です。
髪の毛が誕生する場所である毛球は、この層に存在しています。
この皮下脂肪織は個人差が大きく、太っている人の方が厚くなります。
脂肪細胞は体の糖や脂質の代謝の調節をする働きをしています。
また、外力に対するクッションの役目や、栄養不足の時のエネルギーの供給源になります。

皮膚に存在する様々な器官

皮膚には体温調整や、保護の役割を担う器官が存在しています。
一つは汗腺、もう一つは脂腺です。
2つの器官の役目を解説していきます。

汗腺

汗腺の図
汗腺はその名のとおり、汗をつくる分泌腺で、エクリン腺とアポクリン腺があります。

エクリン腺

エクリン腺は真皮の深いところに位置しています。
エクリン腺は真皮の深いところから皮膚面に向かい表皮を貫通して口を開けたチューブ状の形を想像するとイメージしやすいかもしれません。
反対側の一番深い部分はグルグルととぐろを巻いています。
このとぐろの部分が汗を作る分泌部で、周囲にある交感神経の刺激で、水分や電解質を取り込んで汗を作ります。
その汗が導管を通り、表皮の中にある表皮内汗管の中を通って皮膚表面に排出されたのが汗になります。
汗は蒸発のとき気化熱を奪って皮膚温を下げ、さらに体温を下げる作用があります。

アポクリン腺

アポクリン腺は思春期以降、外耳道・脇の下・乳輪・へその周り・陰部に分布します。
アポクリン腺はエクリン腺より大きな汗腺で、エクリン腺よりも深い皮下脂肪織に存在しています。
アポクリン腺の作る汗はタンパク質を含んでいて粘度があり、排出されると皮膚表面にいる細菌により成分が分解されて体臭の原因になります。
大人の体臭の原因はアポクリン腺から排出された汗に起因していると考えられます。

脂腺

脂腺の図
脂腺は皮脂を作る器官で、毛のあるところには必ず存在しています。
毛根の浅いところの毛孔近くに開口して作った皮脂を分泌しています。
頭・顔面(特に額、鼻、顎)などの脂腺は思春期の男性ホルモンの影響で大きくなり、大量の皮脂を作ります。大人ではこれらの部位の皮脂が多くなるのはこのためです。

脂腺細胞がつくる皮脂の成分はワックスエステル、トリグリセリド、スクアレンで、このうちトリグリセリドの一部は毛孔内に生息する細菌が分泌するリパーゼという酵素で分解されて、ジグリセリド、モノグリセリド、遊離脂肪酸になります。
このため、皮膚表面にはこれらをあわせたものと、脂肪細胞が壊れてできるコレステロールとコレステロールエステルおよびセラミドが皮表脂質として存在しています。

皮脂は20代でピークを迎え、以降歳をとるにつれて減少しますが、男性はあまり減らないとう特徴があります。
頭皮の皮脂もこの変化にしたがっています。

本記事の寄稿者情報

鈴木亮輔
31歳独身。趣味はPCの自作と猫カフェ巡り。新宿のIT会社に勤務するサラリーマンです。20代中盤から徐々に抜け毛が増えて薄毛(M字部分)になり始め、長年に渡り自身で育毛剤を自作するなどの抜け毛や薄毛の改善方法を模索した実体験や、AGAクリニックの通院体験を活かして記事の執筆をしています。薄毛に悩む人は一人でも減ることを祈って、薄毛や育毛対策に有効となる情報を発信をしていきます。
Return Top