
薄毛に悩む男性に朗報なニュースが新しく流れてきました。
それは“PRP(多血小板血しょう)療法”というもの。
PRP(多血小板血しょう)療法とは一体何なのか?初めて聞いたという人も多いので、その特徴を解説していきます。
目次
PRP治療とは
PRP(platelet-rich-plasma)療法とは、自身の血液にある血小板を含んだ豊富に含んだ血しょうであるPRPを注入して、身体の細胞、組織、器官などのもともとの形や機能を復活させていく再生療法です。読み方はピーアールピー療法と読みます。
薄毛治療の場合、自身の血液から採取したPRPを頭皮に注入することによって頭皮状態を改善し、発毛力を促進させます。
血しょうの量は男女によって差はあるものの、およそ55%とされています。
水、タンパク質が主で、他に脂質や糖質、無機塩類、残余窒素などで構成されています。
では血小板とは…??
血小板は成長因子を放出して細胞分裂や修復機能を高め、壊れた血管や細胞を治すなどの働きがあります。
PRPを注入することで細胞が活性化されて働きが促進されるので、傷の治療や美容に効果があるというわけです。
PRPの生成方法とは
採血された血液をまず、遠心分離を用いて赤血球・白血球・血小板と血しょうに分離させます。
その後、さらに血しょうと血小板を遠心分離にかけて、PRP(多血小板血しょう)を採取します。
PRP療法が使用される現場
PRP療法はメジャーリーガーの田中将弘選手が2014年に右靭帯断裂の際に選んだ治療法として選び、一躍注目されるようになりました。
では、このPRP療法はどのような疾患で効果を発揮するのでしょうか?
ひざの変形
PRP療法はひざの変形に効果的な療法だと言われています。
変形性関節症では、変形の進行に伴って軟骨がすり減ったり、半月板が傷んだり、炎症を引き起こして水が溜まったりしてしまいます。
PRPを関節に注入することで痛みを取り除いたり、組織の修復を促したり、炎症を抑えることによって回復を図ることが出来ます。
スポーツ外傷・障害
PRP療法は靭帯損傷や肉離れ、腱炎などのスポーツによって傷ついた組織を回復させる効果が期待できます。PRPを注入することによって自己治癒機転を活性化させ、怪我を直す環境を整えていきます。
美容効果
PRP療法は美容業界でも注目されている治療法の一つです。
PRPを注入することでヒアルロン酸やコラーゲンの生成を促進し、皮膚の弾力や潤いを蘇らせます。
また、この治療法で小じわニキビ跡にも効果的とされています。
薄毛治療におけるPRP療法とは
でも、その治療を薄毛治療に取り入れたとして、効果はあるのでしょうか?
メンズヘルスクリニック東京で男性型脱毛症(AGA)専門外来を担当する小山太郎医師は日刊SPA!の記事にて以下のようにコメントしています。
「美容医療の領域ではPRPの局所注射で、顔の皮膚のコラーゲンの増加や、皮膚が厚くなることが報告されています。各種成長因子の複合的な作用で皮膚の若返り効果があると言われています。」
日刊SPA!
「発毛に関与しうる成長因子も存在しますので、PRPを薄毛治療の目的で用いている医療施設もあります」
日刊SPA!
PRP療法を薄毛の治療に取り入れているクリニックもあります。
さらにPRP療法に関して小山太郎医師は以下のようにコメントしています。
「リスクが低いので、安全性において美容医療の領域では広く使われています。
PRPによる薄毛治療については、効果があると報告もあれば、そうではないという報告もあります。PRPといっても、どうやって作成して、どれぐらいの量を、どれくらいの頻度でどれくらいの期間、注射すれば、どれくらいの効果が期待できるのかについては、十分な検証はまだなされていません。
髪についてはPRPだけで治療していくのではなくて、従来の薬剤とのコンビネーションというのが現実的だと考えます」
日刊SPA!
PRP療法は自身の血液から取り出したPRPを注入するので、リスクは低いとされています。その為、怪我の治療や美容医療領域では広く使用されています。
ただ、現段階ではPRP療法自体の発毛効果は十分に検証されたとは言い難いと言えます。
PRPをどうやって生成し、どれくらいの量を、どれくらいの頻度で、どれくらいの期間注射すれば、どれくらいの効果が期待できるのか、十分な検証がなされていないのが現状です。
PRP療法はAGA治療の一環として捉え、いくつかの治療内容と組み合わせることでより高い効果が期待できると考えられている治療法です。
今までの治療で効果が体感できなかった方は、新たにAGA治療法として試してみても良いかもしれません。なお、このPRP療法は男性・女性どちらにも利用できる治療法です。
PRP療法のメリットデメリット
PRP療法のメリットとデメリットをまとめました。
メリット
- 採血当日にすぐ治療を行える
- 自身の血液から採取した PRPを使うので感染症やアレルギーなどの副作用が少ない
- 元々備わっている細胞の機能を活性化させる治療法なので、効果の現れ方が穏やか
- 1度の治療で比較的長期間治療効果が持続する
デメリット
- 範囲や回数が限られてしまう
- 1年ほどで元に戻る
- 効果が出るまで時間が必要
- 効果における検証が十分になされたとは言えず、不明確
- 保険適用外の治療法なので高額
PRP療法の価格
PRP療法にかかる費用はクリニックによって大きな違います。
10万円前後から20万円前後までと、金額の差は大きいと言えます。
決して安い金額ではないので、よく調べた上で検討し治療を開始するのをおすすめします。
PRP療法が適用できないケースとは
以下の疾患や、治療薬を使用している方はPRP療法が適用できませんので注意が必要です。
- 脳血管疾患などの血液凝固に関与する薬を服用している方
- 心臓病や脳梗塞の既往歴(病歴)がある方
- 肝臓疾患や悪性腫瘍疾患がある方
- 血小板減少がある、血小板に関与した疾患がある、または血液疾患の既往がある方
- B型肝炎、C型肝炎、HIV関連の疾患がある方
以上の疾患や治療薬を使用している場合、PRP療法を希望していたとしても適用できません。自身の病歴や薬の服用歴には十分注意して下さい。
まとめ
PRP療法は美容業界や、スポーツ選手の怪我の回復で用いられる治療法ですが、薄毛改善効果においては現段階だと正確なデータがなく、信憑性に欠けると言わざる負えません。
とはいえ、PRP療法は皮膚の状態を向上させる美容業界では使用されていることを考えると、皮膚の状態の向上は期待できると考えられ、細胞が活性化させることで頭皮の状態が改善し発毛環境を向上させることが期待できます。
今まで行ってきた治療法で効果が体感できなった方は、頭皮状態の改善を期待できるPRP療法と、従来の薬剤とのコンビネーションを試してみてもいいかもしれません。
ただし、クリニックによっては“PRP療法さえすれば髪が生える”と広告している場合は誇張表現の可能性もあるので注意が必要です。
PRP療法は決して安い治療法ではなく、治療費もクリニックによってまちまちなので、よく検討した上で治療を開始することをおすすめします。