髪の毛はどんな成分からできている?髪を構成する成分を解説

髪の毛はどんな成分からできている?髪を構成する成分を解説

髪の毛はどのような成分からできていて、どんな構造をしているかを知っていますか?
それらを知ることで、日々の薄毛・抜け毛対策やヘアケア対策に役立てることができます。
今回は髪の毛を構成している成分や、髪の毛の構造について解説していきます。

髪の毛を構成する成分

髪の毛の80~90%は、ケラチンと呼ばれるタンパク質で構成されています。
残りの成分が、メラニン色素(3%以下)、脂肪(1~8%)、微量元素(0.6~1%)、水分(12~13%)の割合で成り立っています。

ケラチン
80%
水分
12%
8%

髪の毛の主成分

髪の毛の成分の大部分を占めるケラチンタンパク質は、18種類のアミノ酸から成り立っています。

ケラチンタンパク質を構成する18種類のアミノ酸

グリシン、アラニン、セリン、チロシン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、スレオニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、トリプトファン、シスチン、メチオニン、プロリン
アミノ酸 組成 単位(%)
シスチン 17.2
グルタミン酸 13.8
ロイシン 6.5
アルギニン 9.1
セリン 6.9
スレオニン 7.6
アスパラギン酸 4.9
プロリン 6.7
グリシン 4.1
バリン 5.6
アラニン 2.8
フェニルアラニン 2.5
イソロイシン 4.8
チロシン 2.4
リジン 2.5
ヒスチジン 0.9
メチオニン 0.9
トリプトファン 0.8

中でもシスチンがアミノ酸の中でも14~18%と、最も多く含まれています。

ケラチンの化学構造

ケラチンは18種類のアミノ酸がペプチド結合を繰り返し、長く鎖状になったポリペプチドによって構成されています。
ペプチド結合とはアミノ酸のCOOHと他のアミノ酸のNH2からH2Oがとれて-CO-NH-の結合ができることです。

ケラチンの化学式

通常このアミノ酸の分子量が10.000以下のものはポリペプチド、分子量が10.000以上のものはタンパク質と呼ばれています。

アミノ酸とポリペプチドとタンパク質の結合・分解を解説した図

ポリペプチドはジグザグ型になって、さらにらせん状の構造になっています。前者のジグザグ型をβ-ケラチン、後者のらせん状をα-ケラチンと呼ばれています。

つまりアミノ酸がペプチド結合を繰り返すことでポリペプチドを形成し、さらにそのポリペプチドがさらに長くなったものが“ケラチンタンパク質”になるのですね!

タンパク質の特徴

髪の毛はケラチンタンパク質を主成分で成り立っていますが、タンパク質とはどんな特徴があるのでしょうか?

タンパク質の特徴 その1 熱に弱い

タンパク質が熱に弱いというのは、“ゆで卵”で例えるとイメージしやすいと思います。
生卵はMサイズ(重量60g 可食部51g)におよそ6.3gのタンパク質の含有があります。
この生卵に熱を加えると、ゆで卵になります。
これは、卵のタンパク質に熱が加わることで、タンパク質の性質が変化したということです。
このことからも、タンパク質は熱に弱く変性しやすいということが分かります。

タンパク質の特徴 その1 酸やアルカリに弱い

タンパク質はpHの変化によっても変性してしまいます。
タンパク質はpHが極端に変化するとタンパク質の表面や内部の荷電性極性基(グルタミン酸、アスパラギン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン)の荷電状態が変化します。
すると、クーロン相互作用(荷電粒子間に働く力)によるストレスがかかり、タンパク質が変性してしまうのです。

pHとは

phを解説した図
pHとはペーハーと読み、酸・アルカリの度合い(強さ)を表す数値のことです。
pHは1~14まであり、pH7が中性になります。pH7よりも値が小さければ酸性、数値がpH7よりも値が大きければアルカリ性になります。

タンパク質は上記のように熱や酸性・アルカリ性の影響を受けやすく、変性しやすい特徴があると言えます。
髪の毛をケアするとき、“ドライヤーの熱を高温でするべきではない”、“シャンプーは弱酸性のものを使った方がいい”と言われているのは、タンパク質がこれらによって変性しやすいということに起因しているからです。
タンパク質が熱や、酸・アルカリで変化してしまうことは、タンパク質変性と呼ばれています。

髪の毛にタンパク質変性が起こる原因

髪の毛の主成分であるケラチンタンパク質が変質してしまう原因は以下のことが考えられます。

高温でのドライヤー・ヘアアイロンの使用

ドライヤーやヘアアイロンを使用する際、高温で一ヶ所に集中的に熱を当てていると、髪のタンパク質変性が起こり、ダメージに繋がります。
ヘアアイロンを使用する場合は、まず髪をしっかり乾かしてから使用して下さい。
温度は170℃以下で、一ヶ所に当てる時間は2、3秒です。
また温度が低温でも、何度も繰り返し同じ個所にヘアアイロンを当てていればダメージを引き起こします。髪の毛の太さやや硬さは個人差があるので、多くても一ヶ所につき3回以内にはセットが完了する温度で使用するのが理想です。

ブリーチ・パーマなどの薬剤やプールや海水による影響

髪の毛の理想的なpHは弱酸性であるpH3~pH6と言われています。
ブリーチ剤やパーマ剤は、髪をアルカリ性にしてキューティクルを開かせることで薬剤を髪の内部に染み込ませていきます。
また、プールの塩素や海水も同ようにアルカリ性なので、髪の毛をプールの水や海水に付けるとアルカリ性なので髪はアルカリ性に傾きます。
このようにブリーチやパーマによってアルカリ性に傾くことでタンパク質変性が起こり、髪のダメージに繋がります。
ブリーチやパーマをかけたときや、プールや海水浴に行った後は弱酸性のシャンプーを使い、pHをアルカリ性から弱酸性に戻していくことで髪の状態を整えていくことができます。

最後に

髪の毛は主にケラチンタンパク質から構成されています。
ケラチンタンパク質は、熱や酸・アルカリによる影響を受けやすいという特徴があります。
ドライヤーやヘアアイロンを使うときは、温度を170℃以下に設定し、一ヶ所に熱が集中して当たらないように注意して使用することをおすすめします。
また、パーマやブリーチをかけていたり、プールや海水浴によく場合は、弱酸性のシャンプーを使うことで髪のpHを整え、ダメージ状態を軽減させることができます。

本記事の寄稿者情報

鈴木亮輔
31歳独身。趣味はPCの自作と猫カフェ巡り。新宿のIT会社に勤務するサラリーマンです。20代中盤から徐々に抜け毛が増えて薄毛(M字部分)になり始め、長年に渡り自身で育毛剤を自作するなどの抜け毛や薄毛の改善方法を模索した実体験や、AGAクリニックの通院体験を活かして記事の執筆をしています。薄毛に悩む人は一人でも減ることを祈って、薄毛や育毛対策に有効となる情報を発信をしていきます。
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